Trusted Committer(TC)の役割は、InnerSourceコミュニティにおける重要な役割の1つです。 Trusted Committerは、重要な技術的決定や、最終的にコントリビューションをゴールまで導くためにコントリビューターのメンタリングを行う、あなたが信頼するコミュニティの人々だと考えてください。 Trusted Committerの役割は、要求が厳しくやりがいがあるものです。 それは単なる独断的なゲートキーパー以上のもので、あらゆるInnerSourceコミュニティの成功に役立ちます。 一般的に、Trusted Committerの役割は、権限ではなく責任によって定義されます。 非常に高いレベルでは、Trusted Committer達はInnerSourceコミュニティと、コミュニティが構築している製品の両方の利益を代表しています。 彼らはコミュニティと製品の両方の健全性に関心があります。 したがって、Trusted Committerとしては、技術指向とコミュニティ指向の両方の責任があります。 次のセクションでは、これらの両方の側面について説明します。
Moreまず、Trusted Committerの役割に最もよく関連する責任、製品の品質を確保することから始めましょう。 InnerSourceのコミュニティでTrusted Committerたちは、すべての技術関連の意思決定、特に製品品質に関する意思決定の 権利を持っています 。 権利を持つということは、適切な決定が確実に実行されるようにする必要があるということを意味します。 これには、コミュニティ内外で意思疎通を図り、必要に応じてこれらの決定を支持することが含まれます。 しかし、Trusted Committerは、必ずしも技術関連の決定をすべて自分で行ったり、それを実装するためのすべての作業を行うわけではありません。 Trusted Committerの仕事は、彼らのコミュニティの品質基準を伝え、明確にし、 コントリビューター が理解でき、実行可能な形にそれらを策定することです。 これにはもちろん書面による文書も含まれますが、Trusted Committerがこれらの品質基準を伝える最も効果的な方法は、例示によるものです。 私たちは、InnerSourceコミュニティが開発をまとめる方法だけでなく、彼らが作成するソフトウェアの品質においても、従来のソフトウェア開発プロジェクトと差別化を図ることは価値ある目標であると考えています。 ソフトウェア品質の高さは、InnerSourceコミュニティのユーザとその管理者の信頼を確立し維持するために不可欠なものです。 私たちは皆、1つの悪いリリースが、この信頼を一瞬にして打ち砕いてしまうことを知っています。
More本章の導入で Trusted Committerには技術指向とコミュニティ指向の両方の責任があることを指摘しました。 それは、コードとコードの健全性だけに注目するだけでは不十分だということです。 長期的な成功を確実にするために、Trusted Committerはソフトウェアを構築するコミュニティの健全性維持にも努めるべきです。 そのためには、製品の品質を確保することと健全なコミュニティを育てることの間で、バランスを取る必要があります。 健全なコミュニティとはどのようなものでしょうか? 簡単に言うと、健全なコミュニティでは、 コントリビューター はソフトウェア開発にほとんどの時間を費やすことができ、能力を高めることができます。 その結果、健全なコミュニティは、継続して成長することになります。 なぜ、 コントリビューター はコミュニティに参加して留まるのでしょうか? コミュニティの目的や使命に賛同しているため、そうする人達がいます。 この目的を明確にして推進することが、Trusted Committerの仕事です。 この重要性は、認識されていないことが多いが、コミュニティとそのプロダクトをマーケティングすることは本当に重要です。
MoreInnerSourceコミュニティへの参加には連続性があります。 コミュニティについて知らない人達がいます。 新規参加者 は、コミュニティとその製品に関心があるかもしれませんが、まだそれを使用していません。 消費者 は、ソフトウェアを使用しますが、コントリビューションしていない可能性があります。 次に、少なくとも一つはコントリビューションをしている コントリビューター がおり、最後にソフトウェアとコミュニティの両方に責任を持つ_Trusted Committer_ がいます。 Trusted Committerとしては、この連続性に沿う形で個人を動かし、コントリビューションする能力を高めていく責任があります。 この意味で、Trusted Committerは、コミュニティにおけるフォースマルチプライヤーとして機能します。
MoreInnerSourceコミュニティでコントリビューションを求めることは、いくつかの理由からオープンソースコミュニティよりも困難です。 InnerSourceコミュニティでは、潜在的な コントリビューター の数が少ない。 コントリビューターは、勤務時間内にコントリビューションしたいと考えるため、時間の制約が大きくなる。 InnerSourceでの作業は、コントリビューターの正式な目標管理の一部に必ずなるとは限らないため、InnerSourceの作業に費やす時間が目標達成を損なうように見える場合がある。 そのため、Trusted Committerにとって、 コントリビューター のオンボーディングやコントリビューション作成のプロセスを、できるだけスムーズにすることが重要となります。 役立つことがいくつかあります。
MoreInnerSourceコミュニティは企業内に存在するため、オープンソースコミュニティより制約があります。 時には、コミュニティとビジネスユニットの利益が相反することがあります。 Trusted Committerは、プロジェクトに対する長期的な視点を持っています。 彼らは、健全なコミュニティが、健全なコードの前提条件であることを理解しています。 これが、多くのInnerSourceコミュニティが 「コードよりコミュニティ(Community over Code)」 をモットーとする Apache Way でモデル化された理由です。 一方でビジネスユニットは、当然ながら、InnerSourceコミュニティにより作成される製品により大きな関心をもちます。 彼らは、短期から中期の業績で利益がでることを好みます。
MoreTrusted Committerの役割は、大変ですがやり甲斐のあるものです。 このラーニングパスに興味があるのであれば、実際にTrsuted Committerになる方法と、自分がそれに適した人物であるかを知りたいと思うかもしれません。 InnerSourceコミュニティは、オープンソースコミュニティと同じ原則に従っており、その一つに実力主義があります。 実力主義において、権力は才能、努力、成果に基づいて個人に与えられます。 つまり、Trusted Committerの役割に伴う権限と特権は、獲得する必要があるものだということです。 オープンソースのもう1つの価値である透明性は、才能、努力、成果をコミュニティ全体に見えるようにするという点でも重要な役割を果たしています。 正式にTrusted Committerになるプロセスは、コミュニティごとに異なり、InnerSourceの行路のどこにいるかに依り、時間とともに進化するかもしれません。 草の根コミュニティでは、創設者がTrusted Committerの役割を担うことが良くあります。 コミュニティが成長するにつれて、またはより大きなコミュニティでは、Trusted Committerは通常、コミュニティの コントリビューター から指名されたり投票されたりします。 しかし、Trusted Committerの役割は、成功のために多大な時間と献身を必要とするため、自発的に引き受けなければなりません。
Moreここまでの節では、Trusted Committerの責任について学びました。 これらの責任には、製品の品質確保、コミュニティの健全性の維持、コントリビューションする際の障壁の低減、コミュニティのレベル向上、組織内でのそのニーズの主張などが含まれます。 また、Trusted Committerになる方法と、その役割を果たすために必要なことについても説明しました。 Trusted Committerとして働くことは大変ですが、最終的にはあなたの会社におけるコントリビューションの価値を増幅することになります。 Trusted Committerになるための道を歩むきっかけになればと思います。 また、InnerSourceのイニシアティブを成功させるために、有能なTrusted Committerがいることの重要性と、この役割に必要な権限レベルについて、組織が理解する助けになればと思います。 InnerSourceラーニングパスの他の記事や動画を見て、InnerSourceについて、さらに学んでみることをお勧めします。 そしてもちろん、 InnerSourceコモンズコミュニティ は、あなたをとても歓迎しています。
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